スクールデイズ
そらの珊瑚

偶然触れてしまった
手と手の間に
青い花火が散ったのを
キミは静電気だと言ったけれど
人と人の間に
ぶつかって発生する電気信号みたいなもんさと
ボクは思った
キミが粒ならボクもありふれた一粒
粒と粒がぶつかれば
いつか雲になり
雨が降る
理科室の黒い遮光カーテンは重く
いつだってかびくさい
薄切りにされた細胞を
プレパラートに載せて見れば
学校という試薬のなかで
ぼくらはいつだってただの一粒だった
いいよ
このくらいの雨なら傘なんていらない
駅までの道を独りで走った
ぼくらに必要だったのは
傘なんて代物じゃなく
ずぶぬれになって
冷えたのち
発熱を知ることだった
もちろん目覚まし時計は必需品だったよ

進路相談室へ向かう
渡り廊下で
ぼくらの冬はまだ始まったばかりだった

電気を通さないエレキギターの音
部室で隠れて吸った煙草
二段とばしで駆けおりた階段
帯電されていくばかりの
わけのわからないエネルギーを
持て余していた
あの頃

校庭に埋めたタイムカプセル
キミは「萱草に寄す」ワスレグサニヨスを入れた
目印さえもうなくて
掘り起こす術を
ぼくらは永遠に失ったけれど
きっと地熱で融けていくことだろう


自由詩 スクールデイズ Copyright そらの珊瑚 2013-01-29 09:31:11
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