小鳥は何年生きるのか 12×5
蒼木りん

昨日も仕事
今日も仕事
明日も仕事
宝くじ当たって
億万長者になったなら
あんな
世間のごみ溜めみたいな会社
さらっと辞めて
好きなことだけやって暮らす
毎日夢見てる
仙人みたいな日常
雲の上から

大晦日らしくも正月らしくもない今夜
毎年びびって生きてるなって思った
死ぬほどのことはないって
開きなおっても
恥ずかしい人生だった
でも明日は来るし
靴音カツカツ鳴らして
負けないって明日をにらむ
優しくされると怯むくせは
だめだね
セキレイはかしこいから
すぐに逃げない

あともうちょっとの先にあるかも
しれない
夢の国にたどり着くまで
幾日も幾年も我慢
それで半世紀きちゃった
おばかさんだったね
おもいあがってるね
この先終活って楽しそう
思い残すこととか
天国とか地獄に行くとか
考えもつかない
自分の過ちは封印したゃったから

眠くて眠くて死んじゃいそ
蛹のからだ脱いで
セロハンみたいな羽で飛べるくらい
軽くなったらいいのに
心臓がこくりこくりしてる
こころで行き着いた言葉が
蒸発しないように
パソコンもペンも使わないで
文字にできたらもっと
安眠できる
ここでわたしになれるかも
しれない

拾わずに
置きっぱなしの時間
神様仏様に願うことはいつも
胸に罅がはいらないこと
することはいつも
足跡を残さないように
素早く見ため良くして
いつ死んでも
こころが潰れないように
整理整頓軌道修正
冬眠して何回も死んで
死ぬまで生きててみたい


自由詩 小鳥は何年生きるのか 12×5 Copyright 蒼木りん 2013-01-11 11:15:19
notebook Home 戻る  過去 未来