素描
そらの珊瑚

冬をついばむ
くちばし

幼い蕾が
羽ばたく季節の夢をみている
今はまだ色を持たずに

たくさんのおみくじが
今年の枝に結ばれて
羽ばたく明日を待っている

少し前まで
小さな男の子だったキミが大吉をひく
わたしの背をとうに越したけれど
あの頃のキミが
見え隠れしている
どこへいくの
あぶないからこっちへおいで
ほら、またころぶよ
できることなら
ころばないで
育ってほしい
泣くキミを見るのは辛いことだから
それでもキミは
ぬかるんだ道をわざわざ選び
高いところから飛び降りて
わたしの手をふりほどいていく

どきどきすること好っきやねん
危ないこと好っきやねん
だめって言われるとしたくなるねんもん

丸くなった鉛筆の芯を寝かせて
冬の輪郭をなぞってみる
君のくちばし








自由詩 素描 Copyright そらの珊瑚 2013-01-07 08:00:14縦
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