エキゾチック・ジャパン
大覚アキラ

殺人現場みたいな
コンビニエンスストアが
造られては壊されていく
次から次に
雨上がりに湧き立つ虹のように

美しいこの国の
新しいジェノサイド

電波の届く場所が世界の半分で
残りの半分は電波の届かない場所
ぼくは
その境界線の上を
軽やかなステップで歩いていく

めまぐるしく繰り広げられる
ポップな虐殺を横目に見ながら
あちこちで巻き起こる
憂鬱なカーニバルに手を振りながら
軽やかなステップで歩いていく

昨日開店したばかりの
真新しいコンビニエンスストアで
レジのバイトの女の子を旅行に誘ってみたら
意外にもあっさりとOKで

海沿いの町の温泉に行くことにして
地図なんかまったく見ないで
北に向かって車を走らせた

やがて
美しい国の果てに辿り着いて
そこは
夜が凍っていて

降り注ぐ花びら
ゼリーみたいなオーロラ
波打ち際は怖いぐらい静かで
そして
温泉などどこにもなかった

女の子とは
そこでキスをして別れた




自由詩 エキゾチック・ジャパン Copyright 大覚アキラ 2012-12-27 05:06:34縦
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