金魚屋古書店のクリスマス
梅昆布茶

会社の発送所に荷物がいっぱいでフォークリフトも空いてないし
積むのを諦めて明日にまわす

帰りにブックオフによって金魚屋古書店のコミックを買った
105円のコーナーだからきわめて安上がりなクリスマスだ

僕はなにでできているのか
それはたぶん貸本屋のゲゲゲの鬼太郎とかDr.スランプなのかもしれない

アルフォンソミュシャでもあるしサイボーグ009なのかもしれないのだ

高校の時バンドを組むのが夢だったが
自分がヘボで無理だったこと

とっても好きなあの娘を泣かせたこと
星を眺めていたことをいまさら思い出している

なんでクリスマスの夜に浮かんで来るのか
僕は小さな歴史や感情やその微細なかけらでできているような気はする

固定されたものなんて無いのは気づいていたさ
僕は破片の集まりでそれが生意気に個体のふりして
人格なんて語ったりするんだ

あきれ返る話だが他に生きようもないので
雪鳥月花に遊ぶのかもしれない

その自由だけは
せめて許してほしいのだが

僕はたぶん意図するしないにかかわらず変わってゆく
そう希望もしているのだが

誰かの拍手も欲しいが
誰かに精一杯拍手できる自分でありたいとおもった

固執するより拡がりを願った

仲間よりも深い人間とあいたかった

素敵なことは
いつも僕のかけらを取り出し教えてくれる人がいること

僕はぼくだけれども照らしてくれる灯りが必要なこと

そんな人がいる限り
生きていたいとも思うのだ





自由詩 金魚屋古書店のクリスマス Copyright 梅昆布茶 2012-12-25 22:29:57
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