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葉leaf

冷たい水のような闇をかき分けて 叫びだす一歩手前の植物たちを いつまでも一歩手前でとどめるために 踏みしめて歩く 冷たい水のような闇の水圧は高く わずかに届く水溜りの薄明かりさえも 何も映さないために表面を枯れさせる この闇がすべてへとつながる結節点で 夢は氷のように凝集している

基盤整備された桃畑には防風ネットが張られている。これは、一定区間ごとに柱で区切られた高さ3mのカーテン様のものであり、これからの季節はその網のカーテンを開ける必要がある。カーテンの端となっている鉄パイプを、もう一方の端へと走らせる。なかなかの力仕事だ。26開けると体が強く高揚する

父がバックホーを操り、まとめて植えられてあった苗を掘り起こす。バックホーのシャベルと苗を紐で結びつけ適切な場所へと苗を持っていく。掘られた穴に苗を垂直に下ろし、苗が垂直に立つように土を調整し、後はどんどんスコップを使い、土で根を埋めていく。風が殴るように強く日差はどこまでも冷たい

「青い」「蜜が入っていない」として、商品とならないものとしてコンテナに集められたリンゴのうちから、自宅で保存して食べる比較的良いものを選び出し、木箱に詰める。選別をする父の所へ、15kgのコンテナを運び、選別が終わって加工業者に引き渡すものを、目方を量りながら積んでいく。

家の裏手の狭い道路を走っていると 太陽は右上に容赦なく照っていた 国道へ向かう果樹園の間の道でも 太陽は追いかけてきた 追いかける太陽をさらに追いかける者へと 花束の痕跡をくれてやり 二度と追いかけるなと自分の体で太陽を遮る 光の始原は隠れていろ 私は背中で逆に太陽を追い続ける

幾年の風雨が溶け込んだ民家の壁にも 人を手なずけてしまった自動車の窓にも 太陽は砂のように流れ落ちる 吊し上げられた太陽は 構成されることも処刑されることもなく ただその夥しい光で無数の分子たちに呼びかけている 分子はさらに原子に呼びかけ 原子は太陽に呼びかけ 円環が円環のままに

雪の下に埋まってしまった僕の宇宙 様々な隔たりと単一の速さで雪は全ての宇宙を沈め込んでしまう 雪の下から脚を取り外せばそこには無数の種が散らばっている 雪はとても優しく正義感に溢れ全てを包み込んでしまうから 僕は次々と脚を取り外して種を発火させる 雪のない世界、非情な世界のために


自由詩 twitter Copyright 葉leaf 2012-12-23 02:05:04
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