午後と双雨
木立 悟





金属の筒が
激しく回転している
曇の下に震えはひろがり
鳥は去り 雨が来る


一枚の羽 一枚の影
止まった時の重なりのなか
ひとつの声だけが声に到き
ひとつの滴の姿を告げる


午後の墓
すぎゆく尾
橋の向こうの
もうひとつの雨


銀の針で空を描き
かけらは音に
音はかけらに降りそそぎ
地に何も持たない空を描く


蒼黒氷白
黒白白白
身体は走り
他は 追いつけずに


触れることなく
地を打つもの
震えが水を招び 酸を呼び
金だけを残し溶かし去る


音の指と土の指
肉の指とどれほど違うのか
水を刺す 水を刺す
数え切れない ふせた目を刺す


雨間の熱に
ほどかれる森
うすばかげろううすばかげろう
くちびると舌に 言葉をのせる


千手の星を昼に浴び
片目だけで泣いている
灰の熱を編んだ髪
無音に無音に梳きながら




 




























自由詩 午後と双雨 Copyright 木立 悟 2012-12-20 23:52:49縦
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