salco

体臭は毛布のようだ
男臭い布団はそれだけで暖かい
男にとっては逆だろう
遠い子宮の記憶を辿り
疲れた胎児は体を丸めて
全てを忘れて眠るのだろうか
女の体の匂いの中で

私には子宮より
父の腕の中にいるようだ
男の体臭は懐かしい所へ私を運ぶ
遠い日の幼児へ還す
私はその中で小さく小さく丸くなり
ほてった頬で無我の至福へ落ちて行き
一面の笑いと光の中に浮上する
男はきっと
私にとって失われた父親なのだ


自由詩Copyright salco 2012-12-10 00:19:59縦
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