追悼のうた—デッサン
前田ふむふむ

          
ことばのない土を
ことばのない空を
断崖が しずかに線を引く

その聳え立つもの
佇むわたしの踝は  
夕凪を握りしめている
その夏の
無効をうきあげる
屈折を
ひかりの遍歴を
灰色の意識でみたす
    対話を

きみたちの
もう見えない眼は 言葉の屍を
洪水のように流して
そうして 
あらわした柵を
限りなき内部へ
   沈めようとして

答えよう
杭をうたれた雨を
掬って 
底辺に
暗くおびを敷き
否定された内部を

高く
敬意をこめて
さらに高く
きみたちの
旗として掲げよう


自由詩 追悼のうた—デッサン Copyright 前田ふむふむ 2012-12-03 11:07:34縦
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