胡蝶の夢
そらの珊瑚

本当の自由を求めて空を見る

名も知らぬ黒い鳥が
隊列を組んで空を渡っていった

翼があるから自由でいいねと
そんなふうにつぶやくのは
自分の翼で空を翔んだことがない人間が想うこと
あの鳥たちにも序列があって
先頭をゆくリーダーは
迷わせない
飢えさせない
という重い責務を負って
向かい風のなかを行く

生きていく、ということは
終わりまで不自由である
自由になりたいと(何から?)と願って詩を描いたとしても
しょせん言葉に囚われている

あの空にだって涯てはある
自由を求めて放たれた矢がいくつも刺さった涯てがある
私の内部にある皮膚の内側にも
無数の矢が突き刺さり
今も赤い血を流している

ちぎれるままに身をまかせているような
あの雲にだって
風というものに支配されている
ほんとうの てんでばらばらになりたいと願っているのだろうか

手に入らない見果てぬ夢をみて
その一方で
私を束縛しているものに安堵している
今日を生きて空を見上げる


自由詩 胡蝶の夢 Copyright そらの珊瑚 2012-12-01 08:32:56
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