葬送- デッサン
前田ふむふむ

       

うしろからきこえる声
噛み切れば
冷たい雪を
ひとつひとつ積むだろう
棺の
かわいた脈動
その影を
一本の湿地の思想に
束ねている

あなたの
まぶしい眼光
砂のように
西方から流れる
腕で包み
足で踏み固める
かたむく姿勢
すべて粒子が
塗された
透明な芽を

傷跡は
むきだしの履歴
あかるい闇のなか
放物線の考古学を
はりだす

遠い
ひとりが
充足した否に横たわる
心臓が高鳴り
のぼりつめる底辺
引き潮の花を与えよう
饒舌な
しずかさは
その輪郭を
みずのような太陽の
帆先へ

紡がれた空
紡がれた土
紡がれた草
その草の名前を
その草の出自を
 輝かせながら


自由詩 葬送- デッサン Copyright 前田ふむふむ 2012-11-30 00:03:23
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