休日
梅昆布茶

月曜日が休みになった
連休などありえない流通業で日曜の休日も
夕方は次の日の積み込みに時間を割かれる

小学校と中学校の転入手続きが残っているのだが
嫁さんとの勤務シフトがあわない

まあいいや
ちょっと小さな旅でもしようか

旅ってなんだろうなと思う

社員旅行って大嫌いだった
面倒くさいものがそのまま箱に入って
ガイド付きの仕事みたいにおもえたもの

でもたった一人の旅だって
ただひたすら
バイクを転がすだけだったかもしれない

野宿しながら富山の農家のおじさんに
泊まって行けとすすめられたり
青森の波止場で
ちょい若の天理教の男子に
コイバナ相談されたってそりゃ俺には無理だった
やれやれ

東日本の震災により牡鹿半島が壊滅的で
半島の背骨を走るコバルトラインから望んだ輝く海を想う

そんな事を考えながら北浦和公園のなか
たまたまやっていた県立近代美術館のベン・シャーン展をのぞく

シンプルな線描が主体の画風だ
庶民を題材にした社会性の感じられる作品群
ユダヤ系移民だった彼の感性に出会った

次はポール・デルヴォー展らしい
また来れるとおもう
100ccのスクーターでも
家から一時間はかからないし

ついでに常設展示も観て
売店のグッズを冷やかして
それからところどころの光に浮かび上がる
薄暗くなった公園のなかまっすぐ空に伸びたまま紅葉したメタセコイアや
いちょうなどに冬を感じながら歩く

なんだか久しぶりに休日に浸った気がする
たまにはこういうのもいいさ

馴染みの店のカウンターばかりが
世界じゃないんだ

時々は日常の中にだって
なにかをちりばめる必要があるのさ

ふとそう思った







自由詩 休日 Copyright 梅昆布茶 2012-11-28 23:02:33
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