声 —デッサン
前田ふむふむ

  
             
眼の中の
草を刈る人たち
そのふむ土に
灰はあるのか
黒く固まる
もうひとつの眼
形状に
手をくわえれば

内部へと
身体を沈めていく

痛くはないのか
苦しくはないのか
鉄格子
素描された結界として
暗闇のすきまを
埋めている
その手
その耳
ためらわず
弓のように
ことばを打て

むく鳥
石のような意識
くちは空白をただよう
小舟でたわむれたのは
いつだったか

真昼の数字が
屈折するなかで
街に
空色の沈黙を
たてかける
葬られるものの
外部を
なお外部を






自由詩 声 —デッサン Copyright 前田ふむふむ 2012-11-28 11:11:24
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