北風
salco

冬の季語は陽だまりの猫
私は三匹の寝子の母親だから
人間だけどまどろんでしまおう
北風の中を歩いたところで
ろくな事はないよ
みっともないほど着膨れしてても
身ぐるみ剥がれた樹分でみじめだ

冬の季語は電線の凧
あれは死骸のメタファーだ
磔刑のキリストや
「奇妙な果実」を思わせる
空に高々揚げられて
風にパタパタ踊らされている
ポケットに手を突っ込んで一瞥した人達は
忘れぬ内にと喋った後で
皆忘れてしまう


自由詩 北風 Copyright salco 2012-11-27 23:13:59縦
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