教訓2013
梅昆布茶

赤字国債という名の鳥
誰かの晩餐のフルコースが
過剰に国家予算に計上され何かを詐取してゆく

零細な階層があるとすればかつての巨大な墳墓の地下
王が黄泉の国でも安穏に暮らせるよう生きながら埋められたであろう

毎年生まれる百万人のゲットーの私生児たちは
母の子守唄を聴いたのだろうか
あるいは帰らない恋人への嘆きのうたを

悲しみに名前がない様に貧しさにも棲家がない
どこにでも転がっている流木のように
陽に晒されたひとりひとりなのだ

美が均衡と静謐にむかって穏やかに充実すべきものなら
心が悔悟のない判断者だったなら
時間が公平な略奪者であったならば

二万五千年前の遺跡から発掘されたもの
全身を美麗に装飾されて埋められた子供は
すでに残酷な違和で飾られていたのだ

言葉であえて混沌を表現することは
帰結と終息を孕んで次なる階段をも示唆する

狂気は解決を求めるあまりに逆流した正気なのかもしれない

極東の片隅に浮かぶ美しい国
人々は笑いさざめき手に手に花を持ち
礼節を重んじ学を尊び朝夕の挨拶を喜ぶ

友の為には敵と差し違え親と子の為には心臓をも差し出す
街という街は美しい言葉で飾られて不穏な歌は
子供でさえも歌わない

港には希望という名の船が様々な宝を満載して
時を待たずして入れ替わる権力者の冥土の土産となる

国も故郷も場末のスナックで使い果たしてしまったキリギリスは
もう何も憂えないでただ冬にむかって鳴くのさ

そう今日も黒い鳥が電信柱の上で
僕らの貧しい屍骸を待っているんだもの















自由詩 教訓2013 Copyright 梅昆布茶 2012-11-01 19:35:09
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