緑の丘を越えて
梅昆布茶

僕らはやって来た
山脈を望む高台で自身の未来を仰ぐべく
正中する太陽の指し示す影を追って

南の肥沃な低地には生命の修羅があって
過剰な欲望が溢れていた

充足の幻影が従属であること
薔薇の庭園はいつか死滅すること
言葉は何も伝えないことに想いを馳せて

敢えて北を選んだ

そこには正当な死があり
それに反照される生もあることを
望んでいた

絶望は選択ではなくただ自分の流れを
放棄することにあるのだと信じていた

等高線で塗り分けられた世界は今何を求めて
静まった夜に発光し続けているのか

アクターばかりが演者ではない舞台は
たやすく他意の無い悪意で暗転し
路頭に迷う役者ばかりが右往左往して
それでも晴れやかな午後をまっているというのに

沢山の反戦歌があって
申し訳程度の慈善があって
一族の末裔かもしれない僕はというと

でもねハードロックカフェで酔い潰れていた魂を
乞食の晩餐で踊っていた馬鹿な自分を

なんでもなくどこにでもあるような
着衣のランチに誘ってみたかったんだ

無常のなかで家族とか大好きな他人とか
いつもつまづいている彼女とか

僕はこの世界のあるいは自分の視点を得るために
言葉をたぶんつづっている

でも結局さ
いつも大好きなのは
あなたの仕草なんだって











自由詩 緑の丘を越えて Copyright 梅昆布茶 2012-10-27 21:20:20
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