沙漠と薔薇
梅昆布茶

さらさらと無限にかたちを変えてゆくもの
どくどくと体の中を対流するもの
ぼそぼそと語りかけるもの
ろうそくの科学で薔薇の庭園を飾る
 
スズメバチの襲撃を警戒しながら僕たちは生きている 
空から降りてくる言葉に翻弄されて
穴のあいたバケツを打ち鳴らしながら
僕たちはまたフランス革命を起こさねばならないのかも知れない

せつないラブソングが街に流れまたクリスマスがやってくる
エルトンジョンがピアノのうえで踊るように
また今宵も踊ってみせるだけ

定義を定義する作業はもう沢山だ
欲しいのは小粋なひとつの歌
風を孕んで星を歌うのさ

沙漠が美しいのは何処かに井戸を隠しているから
言葉が美しいのは心の井戸にふれるから
言葉が酷いのは空しさを知らないから

手のひらが暖かいのはきっと
誰かの手が凍えているから

たった一本の薔薇を見つけるために
僕たちは5000本の薔薇を育てているんだ
そしてそれを沙漠に植えたりするんだ

君に貸した本の間にこっそりと挟んでおいた
ラブソングを聴いて欲しいんだ

人生が美しいのは
たった一篇のラブソングがあるからなんだ









自由詩 沙漠と薔薇 Copyright 梅昆布茶 2012-10-25 19:14:34
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