ともだち
吉岡孝次

いいのに
ほんと
そんなに きをつかわないで
ほんとよ
うん もうだいじょうぶ
ありがとう おいしいわ このおちゃ

でもどうしてかしら
こうして もうふにくるまっていると
ゆきのなかにうもれていたじぶんがまるでたにんのようにおもえてくる
ねえ おかしいのよ
くすりをのんで ききめがあらわれるまえにやまにはいろうとすると
ほら いそぐでしょう
あせかいて からだがほかほかしてくるの
そのうちだんだんねむくなってきて ばさってたおれると
ゆきがつめたくてきもちいいの
ああ いいきもちだった
あんなにさっぱりしたきぶんになれたの ここしばらく 
 ぜんぜんなかったから うれしかったわ
だって かなしいじゃない ゆきやまでおんながひとり
 なやみをひきずったまましんでゆくなんて
しぬときぐらいは きれいにしにたい
なにもかもわすれて
すこしでもきれいなものにつつまれて

あれ
おかしいなあ
おかしいよ ほんと
ちょっといい
ごめん

ごめんね

あはっ
もうだいじょうぶ
こんどこそほんとうにだいじょうぶ
まかせてちょ
なんてね
あははははは

だいじょうぶ
もうなかない

あしたは はやくでようね


自由詩 ともだち Copyright 吉岡孝次 2012-10-22 20:44:07
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