韓流じゃなきゃだめなの
梅昆布茶

綺麗な役者たちが素敵なフレームのなかで
甘く切ない恋物語

某チョコレートを齧って
爽やかに微笑み彼らは天使に昇格する

僕たちは昇給も無い仕事が恋人だ

僕たちの切なさは三等級下で
恋する乙女の窓辺には永遠に届かない

生活費からひねり出した花束は
白い指に触れないまま朽ち果ててゆく

それで良いのかもしれない
僕たちのハリウッドは別な処にあるのかもしれない
それとも本当は嘘っぱちのメニューなのだろうか

貨幣のような交換価値を持たない者は
いつも狭い箱の中で夢を見るものなんだ

そういった構造の鉄格子をいともたやすく
脱獄する収監者でなければいけないのだろう

彼女には人間の欲望は模倣か惰性であるって
流行はそれを巧みに利用したシステムなんだって
言い切ってしまいたいのだ

イザナギとイザナミが天沼矛で国産みをした時に
まま子扱いされてしまったミズヒルコのように

神々の子供からもれてしまった者はいつも
肩をそびやかして夜陰に紛れて鼠小僧になったりもするもんだ

僕たちは一人ママの狭いスナックで乾き物だけをつまみに
安い酒で朝までジョークと人生哲学の宇宙を紡いでゆくんだ

そういった狂騒のなかで諦めてしまったものを
ふと思い出してしまうそしてセンチメンタルが
喉元までこみあげてしまうんだもの

だから毎年ソウルへ行きたいと思っている彼女にきいて欲しいんだ

どうしても韓流じゃなきゃだめなのかってね




自由詩 韓流じゃなきゃだめなの Copyright 梅昆布茶 2012-10-17 03:09:20
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