残り物
梅昆布茶

ともだちの家と二軒ぶんのごみだしたから
朝からくたくただって君が言う

今日はお昼から仕事だって

僕は朝帰ったばかりで残り物でご飯をつくっている

刻んであった大根とキャベツをつかう
サトイモはさっと皮をむいて茹でる
ごぼうと長ネギしらたきしゃけの切り身
乾燥しいたけ

酒かすを入れ味噌で味をととのえる

僕の人生は残り物でできている
嫁に残され子供たちに残されて
親もすでに他界した残り物なのだ

社内結婚がまた一組
営業の桑田くんが事務所の原坊と四年半の
秘密交際の末くっついたのだとか

残り物になりそうな原坊が売れたのでまあ良かったのだが

僕はまた残り物になるために子供を養うのだろう
世界は残り物で満ちている
それって素敵なことだと思うのだ

だって新しい恋人だって
いわば何かの残り物なんだもの

ごみは極力減量しなければならない
資源は使い切るべきなのだ

あたらしい原発を建ててはならない
だってそれは無限に残り物をうみだすのだから

僕たちはもっと優しい力に頼らねばならない
残り物どうしであるいは残り物で
しあわせに暮らさなければいけないのだ

毎日廃棄される食べ物は
他の国からの略奪物だということを
しみじみ反芻しながら
しあわせに暮らさねばならないのだ





自由詩 残り物 Copyright 梅昆布茶 2012-10-16 15:14:25
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