鳥獣戯画
梅昆布茶
月は夜の命醒めた情熱が空に浮かんでいる
張り出した枝の先に引っかかってなにを思う
そらが墜ちてくるまであそぼうか
朝のひかりを待たずに逝ってしまう
幾千のしじまの響きをたずさえて
青い河原にはススキの薄化粧
女郎花なども黄色く想いを咲かせて
もしも鳥になれたなら
たくさんの種子をついばんで唄うだろう
いつか猫になれたら
走ることに特化された前足の
指の数をかぞえて嘆くだろう
兎になったなら耳をぴんとたてて
世界の音をききわけてみたい
蛇だったなら滑らかな体で
地の果てまで這いすべってゆくのに
ぼくは言語を獲得した猿にすぎない
道具をつくり空間や時間を夢想し
エントロピーにあらがって存在する
脊椎動物のなれの果てなのだ
さあもっと美しい音楽を聞かせて欲しい
とても素敵な石器を作ってきみのために
たくさんの獲物をかついでくるんだもの
自由詩
鳥獣戯画
Copyright
梅昆布茶
2012-10-15 05:25:27