足元を流れる水の底の色、その地下を流れる
ピッピ


目の前で可愛がっていたくまさんが流されていって
お気に入りのピンクのクロックスは濁流でもう見えない
夢だ、
そう気づいた時には
もうそれは現実になっている

小さなお墓があって
小さなお墓しか用意ができなくて
その中には静謐が眠っている
何もない、ということをうたにしよう

目をつむると見えるのは
カラフルな夢、それともモノクロ
ちぎった花びらを捨てていけば
鉛の兵隊が聖者の行進

処女は捨てたの?と誰かが問う
それに答えられる言葉を持ち合わせないまま

気がつくといつも狂ってしまう
自分ではどうにも出来ない時計のずれ
秒針が1秒を刻んでいるのに
地球はそれに従ってくれない
いじめなんかとは違うんだよ、と言われても
それならこれはなんだと言うのだろう
赤い血、
ヘモグロビン

帰ろうね、
と言って手を引いた
おばあちゃんのにおいがする
川下へ
川下へどんどん流れていくにつれて
濃くなっていく憧憬
ゆうきのゆうはゆうひのゆう
ゆうきのきいはきぼうのきい
流れているのは誰なのか
流されているのは
何なのか

言葉が回る
事実が零れ落ちる指先の隙間に
世界は普通を取り戻していく
背中に流れる青い汗
今では既に乾涸びて
水底を走る水中列車
土煙になる
風になる







自由詩 足元を流れる水の底の色、その地下を流れる Copyright ピッピ 2012-10-09 22:32:52
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