公転


回るマカロニの胡椒が経文になって
そこに並んだ
こどものあつめた花束を
しどろもどろに殺し続ける

ミイラへ
鍵穴に差したままのそれは捨てて
もう花を言わないで

黒い花の睦む森を越境する
こどもは
うすく光った葉巻型の船が
ちょうど宇宙人を手向けたのを見る
真新しい永遠の首筋から
白のにおいが喉をかすめた

横たわる、吸い込むと息は
チカチカして乳液がめぐる
横たわる、吸い込むと息は
チカチカして乳液がめぐる
横たわる、吸い込むと息は

爪、はまだ伸びている
黴が生えてしまったようで
身を縮めると隠れていく
単色に埋められた死者の周りで
錯視された海が長くふくらんでいる



自由詩 公転 Copyright  2012-10-08 20:41:01
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