空気人形
三奈


空気人形、という言葉に
いつしか親近感を覚えるようになっていた



乾いた言葉たち
伝えたいことなどなにもなく

空気と同化するだけの日々
私の中身もきっと空気でできているに違いない

空っぽの心臓
空っぽの時間

空っぽだらけの私の名前は
今日も一度も呼ばれないまま

空気を吸っては吐くのです
せっせと仕事をこなすのです


空気人形、その言葉に
親近感を覚えたのはいつからだろう?


身動きがとれない部屋
その部屋に押し込まれた瞬間
私はいつも考えてしまう

空っぽの人間などではなく
いっそのこと
本物の空気人形になりたい、と







自由詩 空気人形 Copyright 三奈 2012-09-05 22:51:58
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