夏草/地球を半周するくらいの確かな意思で
umineko
もちろん
お金や地位や金メダルや銅メダルで
人は幸せになるだろう
私は
もちろん私は世界にたった一人なのだからそういった意味で存在自体が金メダルみたいなものなんだろうとは思う思うけど理論では十分に理解するのだけれど路傍の石、野原のシロツメクサといったいどこが違うのかと言われればそれはそうだねははは、と力なく応えるくらいの存在でもあり
たぶん
強く私を愛する誰かがたった一人でも世界に存在することが証明できればどんな定理どんな理論どんなテレビ朝日どんなLancet
そのとき
私はきっと安堵する生きていることそのものに感謝するそれが証明さえできればあるいはガイガーカウンター、他の指標で測定できればそれはそれで
君の金メダルは合議の結果だけどその背後には私たちの声にならない声確かだと思う思念そういったものと気まぐれな女神、君の指先とか眠そうな目とかに宿る宿った結果なのだ
と
強く私を愛する誰かがたった一人でも存在すれば私はどんな孤独でも喜んで受け入れてそこが砂漠だろうと海底だろうとかまわない、私は生きていく希望に満ちて呼吸だって止めたってかまわないこの矛盾、こっけいな一人芝居
それはかつてここにあったと証明したい
乾いた
南北に走るレールの上を夜が走る 貨物列車だねとあなたが言う こんな時間にも運ぶものがあるんだね
人から人
私は
証明され得ないその命題をあなたに託している
それがきっと私の生きていく意味
朝からオフィスワークがてんこ盛りで外の暑さに負けないくらいコピー機が唸りを上げて
ねえ
覚えてますか
あなたは生きていく意味があるんだだって私がこんなに好きだから
セミが降る
強い意志で
セミが降る
唸りを上げて