不自由な十月
小池房枝

カタツムリ首すくめさせて白き風

虫の音の海ルルイエは秋の季語

サイドワインドする猫どこかかゆいのか

サイドワインドする猫どこがかゆいのか

セミがまだ鳴いてる秋の松林

満面の笑み甲羅干しアカミミー

カメの爪確かに君は爬虫類

秋深み猫が布団を楽しんでいる

コメントを更新しました行進曲


ガトゴットン屋内散歩中のカメ

コメントをついいれちゃって阿鼻共感

天を衝くテイオウダリア秋の季語

葉を毛虫食べつくすから咲いちゃった

五月より尚深き赤の秋の薔薇

チャンプルにしてからのタネが咲きました

知ることのどんどんぱんぱんドーパミン

カラスウリまだ緑色のしま模様

東京湾対岸の千葉に灯がともる


陽が沈むあらゆる果実の赤い色

呑む海と呑まれる夕陽と同じ色

ツキミソウ荒地一面逢魔が刻

リゲルは右ベティ婆は道の果て左

でもそれは今日じゃないよね金木犀

カンブリア以前の海にコモノート

薄野に狐の嫁入り水の音

黄金の林檎実ってアルゴノート
 
渋いのに甘やかなふり姫林檎


クリスマス待ってる赤い実ハナミズキ

実ったり咲いたり枯れたり忙しい
 
朝顔と流れ星待つ流れない

オリオンのわき腹を射る群流星

三ツ星の下に小さな帯飾り

双子座の足元に火星這い登る

東天に金星ちょっと明るすぎ

金のしずく降る降るまわりに金木犀

銀のしずく降る降るまわりに銀木犀


サックルが閉じるよシャケンベ遡れ

ピリカレラ神は大地を神の手に

ミーニシが吹いても南の島は夏

風もすべて水洗いして掛けておく

星は空気を空でしっかり洗濯ばさみ

空は誰かの透明なコインランドリー

金星は金色 before the daylight

船が出る図書館に行く秋が来てる

寝なさいね煮干は明日ネコもカメも


涼しくてうれしいマリモくるくるりん

平らかな地球の海が全て零れた

ラングミュア・サーキュレーション砂漠にも

風盾の矛盾 風だけが永遠に吹く
 
ジンルイはまさしく宇宙の電波系

歌ってよ電脳世界のラプンツェル

夕映えを浴びて薔薇色雲くじら

月影の甍の波は夢の海

風をはらみ満腹転覆そら鯨


大丈夫いつでも海に帰れるよ

日を受けて夢に遊ぶ水が雲になる
 
カタバミとシジミ小さきもの同士
 
朝顔に釣瓶とられてラプンツェル

アルフ・ライラ・ワ・ライラ語れよラプンツェル

ハジ、君は、セロをそんなにしちゃいかん

青年と何か大きな黒いもの

木漏れ日をあやすゴーシュの弓捌き

セロ弾きのゴーシュはザムザ氏と散歩


空一杯夜を満たして今日の月

星影をかき消し虚空に今日の月

山茶花がもう咲いている散っている

南中のオリオン南の風の中

綺羅星を見上げているのに寒くない

ウサギ座の赤い目私の目には見えない

双子座で土星が三つ子のふりしてる

シリウスをくわえて大犬駆け上がる

ぽっかりとあかるい林に椅子ひとつ


俳句 不自由な十月 Copyright 小池房枝 2012-07-27 18:18:01縦
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