ベランダの猫
梅昆布茶

うちの孤高の戦士はいまベランダでひなたぼっこ
あえて妄想中とは言いますまい
ときどきかれの誇り高きぶた猫の本能が
のねずみやのうさぎの後姿をおもいだすのかもしれない
それとも昔の彼女の寝姿か

戦士は群れをなさない
決定的な決断のための孤独は最強の武器でもある
やめない政治家ではないのだ

チャンネル2で内輪に言い放つだけの病気などは
すくなくともうつらない

おかずは程ほどで良い
妥協はときに価値をうむものだ
でもなぜふとっているのか?

幸せは求めるものではない
研ぎ澄まされた精神の別名を幸せと呼ぶ
食べる幸せだけは例外だが

言葉は多くを語らないもの
人間が自らのおもいつきを哲学と称して堕落がはじまった
戦士は言葉におおくをついやさない
詩だ文学だとも騒がないし
だいたいわかっていない

おのれへの自信を尊ぶ
傍観者の目のなかに確実さを求めてはならない
戦士は自らの目のなかに無欠さを見つけてそれを謙虚と呼ぶ
周囲の人間にとらわれずただ無限なるものにのみとらわれるものを
戦士と呼ぶ
だから鳩にはなれない
だいたい重くてあのようには飛べない

我が家の賢人はときどきくさいおしっこもするが
それ以上にデブで憎たらしい戦士でもある
変猫とも呼ばれるがそれを
誇りに思っているふしもあるのだ





自由詩 ベランダの猫 Copyright 梅昆布茶 2012-07-22 03:59:33
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