12色のくれよん
亜樹

トマトみたいなランプが光り
道脇にヒマワリが咲いている
その葉のうえではカマキリが
カマを振り上げ威嚇している

山はもう嫌味なくらいしげみ
おばあちゃんの睡蓮鉢のなか
澄んだ水は空の色を映し出す
もう既にこの町は夏の盛りで

お隣の女子高生は淡い色した
スカートをひるがえしたまま
遊びに出かけて帰ってこない
あれから一度も帰ってこない

辺り一面蝉の声に埋め尽され
ジリジリ焦げていく黒い太陽
車行交う横断歩道の向かい側
ダラダラと汗をたらしながら






この長い夏の間
一言のうめきも
漏らさず彼らは




アナタを待っている。
ワタシを待っている。
ダレカを待っている。





自由詩 12色のくれよん Copyright 亜樹 2012-07-21 00:14:36
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