各駅停車
そらの珊瑚



線路脇ヒメジョオンに見送られ次の駅で降ります、わたし

信号にたどりつくたび赤になる 誰かに 急ぐな! と言われたみたいに

夏蝉は耳がないと聞きました だからことごとくおしゃべりなのです

だいじょうぶ あなたのいないこの庭で毎日虹を作りますから

山と山 かさなり合った谷間から雲が生まれてきましたね

ピィィーとひと声夜汽車ゆく 枕のトンネルくぐり抜け

記された消印はすずかけの森 時々届く過去からの手紙

さみしさを別のさみしさで埋めていくカレンの歌声青春の影

ちりぢりになった欠片を集めたら故郷によく似た絵になった








短歌 各駅停車 Copyright そらの珊瑚 2012-07-10 12:18:18縦
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
夢見る頃を過ぎても(短歌)