告白
まきしむ

インド人形ってなに?
それを今から検証していこうと思います
一緒についてきてくださいね、はい
黒板を見てください



その時校庭では三組の女子、エリコさんが
両足をがっしりと開き腰を軸に
すさまじい回転を続けていた
時折のぞき見える白い下着に僕は釘つけになっていた



エメラルドグリーンです
この目。これが、あなたがたの悪い心を見透かしているんですよ
だから、悪い心を持ってインド人形に向かうと、
自責の念であなたがたは悶え苦しむ
そういうシステムになっているわけですね、はい



エリコさんのことが僕は好きだ、と思う
でも僕がエリコさんを好きな度合いを好きと言ってよい
ラインとするならば、僕は他にも五人くらい好きな人がいる
入学式、このクラスに決まった時は、衝撃だった
こんな大げさな言葉を使ってよいのだろうか、『楽園だ』と思った



実は、いましがた、ここに、まさしくそのインド人形を持ってきておるんです
もし、今、不埒なことを考えてる人がいるならば、今すぐにやめたほうがいいですよ
・・・びっくりしたでしょう?ははっ、は
でも大丈夫。先生も大人です
みんなが善い部分だけでできているとは到底、これ思っていませんからね



『やめろオォォォォォッォ!!!!』
突如教室の背後、隅にある掃除用具箱がガタン、と開き、ミツコさんが出てきた
ミツコさんはあまり美人じゃない
だから僕は好きではない



どうしたのですか?今は授業中です
席に戻ってください



ミツコさんはスペシウム光線を出し先生を殺した
インド人形の瞳がくるりと反転し、三秒後に爆発した
インド人形の破片が教室に飛び散り、教壇付近にいる
生徒を中心に勢いよく突き刺さった
エリコさんは校庭で相も変わらず回転を続けている
速度はぐんぐんとまし、いまや残像しか見えない
奇妙な「ブーン」という音がここまで聞こえてくる

今しかない、そう思い僕は教室を飛び出した
右手には『ぼくの好きな人へ』
と書かれたラブレターが握られていた


だいじょうぶ、きっとうまくいくよね
そう信じる気持が、僕の心で無数のこだまを作った

だいじょうぶ
だいじょうぶ
だいじょうぶ
だいじょうぶ



散文(批評随筆小説等) 告白 Copyright まきしむ 2012-07-09 19:05:32縦
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