2012/7/5
鎖骨




皆が皆こぞって着たがる有名ブランドの流行服
季節毎に色を変える恋愛ごっこ
僕達にんげんは一人ではとても弱いので
くっついて抱き合って甘えごとをささやきあっていないと
砂糖菓子みたいに崩れちゃうんです
くっついてばかりいても結局
湿気ってちゃうんだけども




夏に雪が降ってくれたら良いな
僕らの住んでる町にだけ
そうしたらこの退屈な日常にも
先が見えてしまいそうな感覚にも
ほんの少しの間耐えられると思うのに




いつだって何かを幻想してなくちゃ駄目なんだ
現実の界面でうまく生きてゆけないんだ
思春期にありがちな錯覚か何かだと思ってたものを
ここまでずっと引き摺ってきてしまって




むかしの、普通に呼吸が出来ていた頃の
夏の休日の昼下がりの緑のにおいをまだ忘れずに居られている
雨の日のくすんだにおいも
カーステレオから流れる有名なナンバーを
素直に素敵だと思えていた頃の自分の欠片を




でも
これもきっともう
自分で砕いてしまわなきゃいけない
いつまでもずっと本当の意味で大人になれないままで
惨めな未完成品のままでいるのには耐えられないから




外側だけ皮だけ上っ面だけじゃなくて
心から中身から骨から全てリストラクチャーされたいと
内奥に創り上げた都合の良い神様に祈りながら
青いままの魂はずっと救われるのを待っている
温い眠りの海の中で






自由詩 2012/7/5 Copyright 鎖骨 2012-07-04 23:43:50
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