カノープス
itukamitaniji

カノープス

君は古びた飛行船 がたがたと鈍い音を立てて
かみなり雲の中を いつまでも飛び続けている
流れ星が追い抜いて飛んでった 遥か遠くへと
選ばれた誰かの名前を その輝く尻尾に宿して

見えなくなっても いつまでも手を振り続けた

仕方ないさって 優しい君はまた強がって
笑って見せるのさ 目にいっぱい涙を溜め込んで


世界の果てに辿り着いて 死んだつもりだった
冒険者は失望した ある時知ってしまったんだ
この世界は真ん丸で 果てなどはじめから無いのだと
あるのはいつだって 途中の風景なんだって

進み続けるしかない それしか道は無かったんだ

消えそうな程 微かに暗闇を照らす一筋の光
それは過去から届く 幼い頃の君が放った光だった
すっかり忘れた頃に 今の君へようやく届いて
夢の名前を教えていた まだ終わりじゃないよって


大それた名前なんて無くても 無駄に生き長らえて
ひっそりと輝く あの名前の無い星みたいに
どんなに無様であっても 生き続けてゆけ
それが誰かに教えてもらった 君らしさだ


自由詩 カノープス Copyright itukamitaniji 2012-06-28 01:27:58
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