無駄な一歩か否か
木原東子

わが一歩 一応は一歩進む
道に穴だ 二歩さがる
すこしずらして 一歩進む
空気がない すごすご引き返す
しゃがんで一歩 こっそり出す
いきなり水の中だ 鰓がなくて溺死

科学は日進月歩 これぞ男の華
単純作業は機械が担当
精密作業はロボットが当てになる
道路も地球上も(天体も)
絶えず見回る カメラと言う眼

人間の仕事は 老人介護と開発研究
勿論芸術スポーツなどあるが
庶民は税金を僅かに出して僅かにキャッシュバック
ホームレスはどうする

携帯は日進月歩 これぞ人間の輪
子育てを忘れ、のめり込む万年携帯
ゲームに自ら没頭するまでの
子どもの淋しい日常 哀れ哀れ文明の子

経済は場所により日進月歩
塾に追いやられる
エイズの親から生まれる
内戦から難民となる

熱と氷、緑と鉱物、石油と原子力
地球も日々歩む いづこへ?
何を残す、何が残る?


せめて一歩進んで
せめて子どもの、孫の眼をみてほしい
しっかり見詰めて、しっかり遊んでやって欲しい
少しの時間でも

力強い一歩が あるいは生まれるかも
想像もつかない日進月歩が


自由詩 無駄な一歩か否か Copyright 木原東子 2012-06-24 21:50:25
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