紫陽花病
本木はじめ


紫陽花の色が変わってゆく様を観察してるきみに言われて


カラコンをしている違うきみの目に映る無数の紫陽花の色


思い出す豪雨の海辺で見た脚と深い紫いろの紫陽花


六月の内臓さがすと言うきみが土砂降りのなか見つめてる闇


濡れた髪乾かさぬままカーテンの隙間から見る仔猫とミルク


ゆうめいな画家が描いたという貝がまもなく海に現れる夢


六月の蛇口をひねるきみの手を見ているぼくは血だまりの中


紫陽花の群れに埋もれて錆びてゆくぼくらの一度きりの六月




短歌 紫陽花病 Copyright 本木はじめ 2012-06-23 20:41:21
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