ダウンズタウン is freedom
石川敬大




 ゆきちゃんは あさ
 かさをさし 長靴をはいて
 雨のなかの花にあいさつする
 話しかける
 おじぎをする
 おはよう さようなら
 きょうなにたべるってたずねている

 ゆきちゃんは ときどき
 えんちょうのわたしに訊く
 おとなになったらなんになるの
 赤ん坊のいるおとなのおんななのに
 じぶんとおなじ子どもだとおもっているみたい
 だから こんにちはを言わない
 おとなのひとにだけ
 こんにちはを言う

 ゆきちゃんは一心不乱に絵を描く
 ピカソばりの色彩感覚 バラバラの目鼻
 ゆきちゃんは文字を書く
 いっしょうけんめい いっぱしの書家みたいに
 とは いかないけれど味がある

      *

 子どもとわたしのあいだにはカベがあるんですよ
 よそのお母さんたちは
 かなしそうに言うのだけれど
 ゆきちゃんたちにカベはない
 かわいいユーレイみたいに ひとなつっこくそばにいる
 カベがあるのは
 お母さんたちのほうだ

 子イヌ 子ネコ ゆきちゃんたちが
 りょううで ブルンブルンふりまわして
 ニコニコ笑ってゆききする
 ひとがひとを傷つけることを 言わないから知らない

 そんな街で

 はじめての
 ゆきちゃんにあいたい






自由詩 ダウンズタウン is freedom Copyright 石川敬大 2012-06-23 18:38:50
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