女=悪 放課後の教室で男が女に語らう
只野亜峰

女=悪 放課後の教室で男が女に語らう
http://ana.vis.ne.jp/ali/antho_past.cgi?action=article&key=20030829000039


女は時間と金がかかる(girls require time and money)ので
Girl = Time × Money ・・・(1)
時は金なり(Time is Money)という諺によると
Time = Money ・・・(2)
(2)を(1)に代入すると
Girl = Money × Money
ここで、金は諸悪の根源(money is the root of all evil)だから
Moneey = √(Evil)
したがって
Girl = √(Evil) × √(Evil) = Evil
女=悪 (証明終)


 これはよく2ちゃんねるに書かれる有名なコピペの一つで、今でもいろんなところでしばしば見かけたりします。作中で指摘があるようにツッコミ所満載の色々間違ったコピペなんですが、女性になにがしらの恨み辛みを持った人とか女性が苦手であるだとか女は二次元に限るね!なんて言ってる男子勢にはウケが良かったりする気がしますが、女性に言った日には社会的に抹殺されかねないので御利用には細心の注意を払ったほうがいい気がするわけですが、今回たまたま見かけたSSはこのコピペを題材とした作品だったりするわけで、なんだか甘酸っぱい感じがしてとてもほんわかした読後感が味わえたりしたわけです。

 この作品に出会った経緯というのが、先日書いた愚作「彼と彼女のバランスシート」がどうにも消化不良だったので、補足する意味で「考察:彼と彼女のバランスシート」なんていうものを書こうとしていたためなんですが、その折になんとなく「女=悪」のコピペを思い出し「女は時間と金がかかる」でぐぐった結果の二件目に出てきたのがこのSSだったりしたわけで、こういう偶然の出会いもネット文化の楽しみであるなぁ等と思ったりするわけです。

 どうやらこのページは小説投稿用の掲示板らしく、コメント欄にいくつか批評が書かれていたりもしますが好意的なコメントがほとんど無かった事が自分としては意外だったわけですが、批判的なコメントのほとんどが「女=悪」の是非に終始していて作品の主題に何が置かれてるかまで言及されてないなぁというのが個人的に残念で、こんなネットの辺境でまともなコメントを残す人間がどれだけいるんだろうかというのは別に置いておくとしても、わりと本気でコメント欄の人達の読解力が心配になったりで、こういう滅茶苦茶な部分も合わせてネット詩だのネット小説だのいう文化があるのかと思えばそれはそれで楽しめたりもして色々面白い感じではあったわけです。

 この作品で語られんとしてる事っていうのは結局のところ雄一と加奈のなにげない日常の一コマであるわけですね。「女=悪の証明」なんていうのは主題ですら無い彼らの雑談の一材料に過ぎないわけです。彼らにしてみれば「悪の証明」も「昨日見たリーガルハイ」の感想も同列で、言ってみれば4コマ漫画のタイトルみたいなものだったりするわけです。端的に言えばただの日常系ラブコメですね。

 「女=悪の証明」なんていうのはそれらしく見えるただのデタラメなのは言うまでもないわけで、それを得意気に語って加奈をからかおうとする雄一にとっても、軽くあしらって雄一をねじ伏せる加奈にとっても取るに足らない娯楽でしかないわけです。そもそも放課後に教室に残って雑談してる男女とかどう考えてもただのリア充なわけで、恋人同士ではないにせよ少なくとも放課後に一緒に残って一緒に下校する程度の親密さを持った関係である事がうかがい知れる訳で、俗に言う友達以上恋人未満である可能性が高いわけです。彼氏彼女の事情の主人公カップルの付き合う前みたいな感じですね。爆発しろ。

 とはいえ男女間の価値観の違いというのは普遍的に語られるものでもあり、時としてそれは些細なすれ違いから民族浄化の如き対立を生み出したりもしますが、ある意味でその対立を象徴したような「女=悪の証明」なんていうプロパガンダが親しい男女の仲で娯楽として語られるというのはどこかホッとする一コマであったりします。中高生の持つ若さゆえの無邪気さの成せる業であるとも言えなくもないですが、それはそれで青春の甘酸っぱさを感じさせてほんのりできたりするわけです。僕もこんな青春送りたかったです。


おすすめリンク 女=悪 放課後の教室で男が女に語らう Copyright 只野亜峰 2012-06-20 19:04:38
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