さしこ(仮)
itukamitaniji

さしこ(仮)

ごらんあの光が見えるかい? 結局は偽物だったのかな
指先にようやく触れた未来は 跡形も無く消えた
戻れないところまで 連れ回された挙げ句の果てに
箱舟は私を置いて飛び去った 手を振る間もなく

信じていたはずのものが
手の平を返して裏切った
夢と現実の狭間に 置き去りにされて立ち尽くした

駆け抜けた過去を亡き物に なんて出来やしないのだ
例えどんなにそれが 汚れきった黒い歴史でも


大人達はランキングに夢中 騒いで増える批評家達
奇跡だなんて 頼んでいない名前まで付けて
頑張れば頑張っただけ けなされるというなら
本末転倒 それじゃあどうしたら良いのさ?

大勢の人に好かれて
それとおんなじ位嫌われた
それは有名になった証拠だと 誰かは言うけれど

指をさして笑ってられる位が 丁度良かったかも知れないね
手に入れてもどうせ いつか消えてしまう光なら
だけどそんなこと言ったら 今までの全ての出会いが
無意味なものになる それは諦めるよりも怖い


それでもいつでも愛しかった
暗闇に居た私のことを
唯一照らしてくれた光を
いつだって目指していた

何にも持たず駆けてきた そんな何でもない私でも
微かな光を放っていた 自分だけでも信じてあげなきゃ
暗がりを照らした分 まだ別の暗がりを作った光
それでも何処か違う誰かに 届く光になれるなら

駆け抜けるよ何度でも あの頃の自分はもう居なくて
もうそれしか 生き方を知らなくなったのだ


自由詩 さしこ(仮) Copyright itukamitaniji 2012-06-19 23:57:16
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