彼と彼女のバランスシート
只野亜峰

■Aくんのバランスシート

AくんはB子さんの誕生日に合わせてプラダのバッグをこっそり買いました。

プラダのバッグ 50/現金 50

後日、プラダのバッグを劇的にプレゼントし、彼女は御満悦です。

愛情 50/プラダのバッグ 50

プラダのバッグは無くなりましたが、愛情を費用として計上する人はあんまりいないと思うので資産として計上します。
つまり、A君はプラダのバッグをあげる事によって愛情を深めたわけです。良い話だなー。


■B子さんのバランスシート

B子さんは誕生日にAくんからプラダのバッグをプレゼントされました。

プラダのバッグ 50/愛情 50

愛情を負債として計上する人はあんまりいないと思うので収益として計上します。
つまりB子さんはプラダのバッグをプレゼントされる事によって愛情を確かめ合ったわけです。良い話ですね。


■中間考察

つまり、プレゼントとあげた側は愛情を資産として計上し、貰う側は愛情を収益として計上するわけですね。
ちなみに一般的に男女間のプレゼントは男性のほうがお値段が高かったりしますが(要出展)、これは一般的に経済力の勝る男性よりも高価なものを買わないほうが男性のプライド的に良いとされているからで(独自研究)、一般的に女性のプレゼント相場は男性の6割程度とされています(要出展)。男性側もよっぽどの貢君やATM君でなければ自分もプレゼントが欲しいと思うでしょうし、これに前述の傾向を踏まえますと次のように補足されると考えられます。

(Aくん)
愛情 20  /プラダのバッグ 50
未収金 30

B子さん
プラダのバッグ 50/愛情 20
          未払金 30


■B子さんのバランスシート(2)

B子さんはAくんの誕生日にロレックスの時計をプレゼントする事にしました。

ロレックスの時計 30/現金 30

後日、ロレックスの時計をプレゼントされた彼は御満悦です。爆発しろ。

未払金 30/ロレックスの時計 30


あれ?


■Aくんのバランスシート(2)

B子さんにロレックスの時計を貰ったAくんはとてもウキウキです。

ロレックスの時計 30/未収金 30

なんか愛情科目がピクリとも動いてませんがきっと気のせいでしょう。


■中間考察

なんだかビジネスライクな関係になってしまいました。出会った頃の二人がまるで嘘のようです。


■Aくんのバランスシート(3)

なんだかんだあって価値観の違いから二人は別れる事になりました。

/愛情 20

対応する勘定科目を考察します。この場合は思い出が良いでしょう。

思い出 20/愛情 20

彼は愛情という資産を失いましたが、思い出という資産を得ました。
彼の中の思い出はきっと彼の帳簿の中の固定資産として長らく愛されながら緩やかに減価償却されていくでしょう。

減価償却費 3/思い出 3

■B子さんのバランスシート(3)

なんだかんだあって価値観の違いから二人は別れる事になりました。

愛情 20/

対応する勘定科目を考察します。この場合は思い出が良いでしょう。

愛情 20/思い出 20

彼女は愛情という収益を失いましたが、思い出という負債を得ました。あれ?
彼女の中の思い出はきっと彼女の帳簿の中の固定負債として長らく憎まれながら緩やかに返還されていくでしょう。あれ?

思い出 3/恨み辛み 3



二人の過ごした日々 priceless...


散文(批評随筆小説等) 彼と彼女のバランスシート Copyright 只野亜峰 2012-06-19 10:51:02
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