六月の卵
salco

冬の雪夜を仕舞っている
夏の波濤を想っている

儚い薄い殻の外
ひとむれの皐月の襤褸
うぐいす色の花粉を肢に
マルハナバチ
咲き残りの蜜を尋ねて回る
それも昨日のピリカの国へ
曇天の下たれもなく今日は
ほら雨粒が
今しも白の殻に落ちる
お前は涙を知らなかったね
ついぞお前は割れもせず

厳冬の斉唱
盛夏の遺失


自由詩 六月の卵 Copyright salco 2012-06-17 23:58:15縦
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