2012/6/17
鎖骨




捨て鉢になって、僕達は
あかるいみらい へ 霧散してゆく




あいとかこいとかゆめとかきぼうといった念仏
風の音に紛れて
いつも遠くで聞こえている




これからは酒の代わりに重石を飲み込む生活
青い宇宙がもう消費期限切れになってしまうと神様が唐突にアナウンスされたので
みんなこぞってスーパーマーケットにロケットを求めて殺到しているらしい
愛も夢も希望も仕事も長年連れ添った恋人やペットも捨てて一人乗りのロケットを
夢のマイホーム予算を結婚資金をあらゆる賄賂を裏金を擲って
それに乗ってどこへ行くの?何処まで行けるの?
そんな狭い棺が無くったってお星様になれるって
幼稚園児だって知ってる
のに




みんなお互いに思っているほど外見も中身も綺麗じゃない




相対価値を上げるために僕等以外の顔も名前も知らない皆が
死んでしまえば良いのにねって
思ったことは無かった?似たようなこと考えたこと無かった?
飾らないで
嘘のひとつだってもう許さないから




結局僕等生きていくんだよ
くだらない思索と独白を往来に垂れ流しながら
汚れて臭う肉のからだを引き摺りながら




唯一心を奥底まで裏側まで襞の隅々まで許した人に褒めてもらった指にも
いつどうして出来たのかわからないような胼胝が出来て
痩せたように細く少し古ぼけてくすんでしまって
もう誰にも知ってもらえない見えてもらえない触れてもらえないあの頃のわたし(ぼく)の
指 指 指 声 身体
働いてお金を貰わなきゃ
お金と比べれば無垢性なんてつまらないもの




夜はいつだって重くて
でもその重みで明日を潰しきってはくれない
馬鹿みたい
どうしてまた繰り返さなきゃならないの?




あらゆる扉という扉を壊して周りたい
あの人に手をひかれて
夢の中で










自由詩 2012/6/17 Copyright 鎖骨 2012-06-17 02:23:04縦
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