瓦礫の花
itukamitaniji

瓦礫の花

生まれる場所は選べない 崩れた街の瓦礫の隙間
ようやく頭を出した花は はじめて空を見上げる
生まれる場所は選べない 檻の中で生まれたライオンは
草原の夢を見ても 自分に牙がある理由を知らない

それは幸せだったの?
それとも不幸せだったの?


誰からも疎まれる汚い虫は すぐに叩き潰された
叩き潰した当の本人は それでも生は素晴らしいと歌う
腹一杯食った挙げ句 嫌いな食べ物はダストシュートへ
餓死する子供のニュースには それでも顔をしかめる

僕らの心はいつでも
白い天使で黒い悪魔さ

それならば食うなとか 何にも欲しがるなとか
極端な奴は言う 気持ちは分かるんだけど
何かそーゆーのも 違うような気もする
腹も減るし欲もある もうそうやって生きるしかない


生きてく場所を選べない 瓦礫の花は人々に
希望の光と呼ばれて 生まれ変わる街で生きていて
生きてく場所を選べない 檻の中の動物達は
人々に笑顔を与えながら 健やかに生きている

それが幸せだとか
それが不幸せだとか

そんなもの平等に正しく 測ってくれる物差しなんて
何処にも無いから 何を教えるも教わるも無い
だけと そんなこと言ってたって何も始まらない
せめて恨まぬように 生まれた場所も生きてく場所も


自由詩 瓦礫の花 Copyright itukamitaniji 2012-06-16 12:05:17
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