2012/6/11
鎖骨



こぜまいワンルームを飲み込む深い夜
に響くのは これは 負け犬の遠吠え
目に見えない明日との境界を揺るがす
もう二度と朝など来なくてもいいと
静かにしかし重く嗚咽するこれは声なき声の歌
だれか
書き留めて
書き留めておいて忘れないように
次もまた、繰り返したら
明るい空を繰り返すのなら
直ぐに掻き消されてしまうから
すべてを憎めそうなこの胸の煮凝りも
働くために 生きていくために
また押し固められて



どこへでも行けるし 何にでもなれるし
猶予だっていくらでもあるように思えた
(夢の中)手を繋ぐ二人を揺らす電車も
窓から見える景色も
違和感の欠片もなく
全部が繋がって
きっと何でも受け入れられるとさえ信じられて
若く青く柔らかく鋭敏ないきもの
だった筈なのに



きみは まだ 子供のまま?
子供のままなの?
白くて 強くて 自分しか見ていなくて けれど
それが許される 許されてしまう
ずるいよ ずるいなあ
と思うけど
キャベツの芯
みたいな真顔で
明日へところてん式に
繰り出されていく
ああ!








自由詩 2012/6/11 Copyright 鎖骨 2012-06-11 00:08:40
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