文明の震えを
木原東子

文明の震えを支える地の震え

働き蟻が扇子と携帯、クールビズを
並べて夜店で営業
いつまで開業する

父の暗い眸 母の暗雲
幼児はティンカーベルの羽をして
透明と超越
作り笑いのどこかに触れる

滅びの歌を
遅くならぬうちに唄え

 皐月闇の樹々の重さを
 露草のぼつぼつ目覚め
 紫陽花が梅雨を準備するさまを

 くちなしが香水の蕾を
 ひまわりが背伸びしかかる

理の当然
としてのバウンド
環太平洋のリングの要
金持ちが頼る円

ギリシャが滅ぶとき
亜細亜の
亜民主主義が沈むとき

電子の海がせめて
破滅を免れるとして

滅びの歌を
大和の自然に捧げよ

ひとの営為の意味を
もしあればその美しさを
これを最後と謳うのだ
文明の震えを


自由詩 文明の震えを Copyright 木原東子 2012-05-31 18:08:09
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