海の構図
たもつ

 
 
砂の喫茶店で
椅子を叩いているうちに
夕暮れとなり
列車は少しずつ走っていた

コーヒーのお代わりは半額
けれど労役が発生し
古くからの友だちはみな
去ってしまった

入浴の準備をするために
すいません、と
マスターが犬の散歩にでかける
店番は卵の殻を割り
オムレツを焼いているけれど
誰が食べるのか
何か月経ってもわからない

砂が風に運ばれて
降り積もる音がする間に
湿った喉を雑然と乾かす
構造は海に似ているのに
余りものが出たらしい
という声だけは
よく聞こえた
 
 


自由詩 海の構図 Copyright たもつ 2012-05-26 18:22:35
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