くだらない休日の過ごし方
カワグチタケシ

俺も大人になって人の痛みを知るようになり
今朝もあしたも街を見下ろす歩道橋をわたる
銀色の街は光の破片にみちているが
それも2時には消えてしまう

沈みかけた船から小さなはしけに思い切りジャンプして
沈んでいく巨体をしっかりと目に焼きつける
たどり着く岸辺をさがす気も失くして
流されるまま静かに漂い続ける

トラブル続きの木曜日やひどく退屈な休日が
君を魂の問題から遠ざけているというのなら

誰かの誕生日やくだらない休日の前の晩には
気心の知れた仲間たちといつも馴染みの店で
くだらないメロディに乗せて精一杯の大声で
君は不条理を歌えそして笑え

物語が角を曲がってこちらに向かってやって来たその時
俺は薄目を開けて
できるだけ身軽になってやり過ごそうとしたが
俺にはもう捨てるものなど何も残っていなかった

太陽がやけに明るい午後
the first day of spring
地下鉄に乗って街へ出かける

どんなに強く風が吹いても重力が俺を大地から引き離さない
だから俺はここにいて
いつも君をさがしている

 


自由詩 くだらない休日の過ごし方 Copyright カワグチタケシ 2012-05-25 06:32:03
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