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木原東子

この生が空しく過ぎることを悲しめば
問い返される
何が充実か

揚羽蝶がゆずの木にやってきた
仇やおろそかではない
ひらひらと儚くも天に任せる

愛しているさ、悲しんでいるさ
生の肯定 死の受容
自分を肯定できる方法を必死に探す

庭仕事ウーマン 目隠し作戦を練る
風の強さ 家人への不安 これに対処できるか
おまけにひとりで作る自信がいまひとつ

老母を美しい季節の庭に招待したいかも
そのためにはしておくべきことも多い、不可能な程
なにゆえにこうも自分に課する

ちょうどカーテンの隙間から
大きな満月が覗き込んでね
話しかけてきた

ややの後、隙間を見たら
まだそこにいて金色だった
どうしてそこまでの金色

どうしても自分から逃れられない
これが才なき証拠の 受け身の固執
不甲斐ない自分、押されてばかりだからこそ

君の弟たち おかげさまで
ギリギリの線で歩んで行くよ
男なら命の限り開発部隊

夕べの月のメッセージは
その「楕円」の軌道の
一番地球に近い場所から であったそうな

楕円の軌道が
あみだにかぶった帽子のように地球にかかる 
そのてっぺんから満月がのぞく

辛くも見える金の円盤
満月が存在しなかったら
理不尽な衛星と思ったかも

余りに大きく明るい
中天に
星すら薄れてしまった



西空から きらきらと宝石のような 飛行機が飛んで来た
まっすぐに
狙ったように当たった

金色の表面を見事によこぎった
暗い影なりにきらきらしながら
自転車じゃない ETじゃない 地球人だけど

なにかに出逢った たしかに


自由詩 ランダム Copyright 木原東子 2012-05-09 13:41:57
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