おんな
そらの とこ

おんなはおとこをつれてわたしのいえにやってきます
あるときはひげのひと
あるときはとしのひと
あるときはすごくやさしいおとこでした

おんなはわたしをくらいへやにとじこめます
それがさいんです
わたしはねむります うそでもねむります ねむってたえます

がさがさ ごそごそ
ちいさなおんなのこえと おおきなおとこのこえ
なにをしているかはしらないけれど
おんなとおとこは ながいあいだそうしています

くらいへやにひかりがさしこむと
そこには えがおのはは がいました
わらいながら おかしをくれました
わらいながら わらいながら
わたしをぶちました

へやをみわたすと
いないはずのおとこがまだそこにいました
こわいかおをして すこしやさしいかおをしています

わたしをみるめが
それはそれは
たいへんなおとこでした

男だ とわたしはさとるのです

すぅとせすじにさむけがはしりました

にげよう にげなきゃ にげる

きがつくと

そこには 子供がおりました

私は 女から 母になったのです

でも そこには 男がいて

私は やっぱり 女 なのだと

白い太ももを見せると
ふくらはぎからももへ黒い手が走る

静かに声を出して 静かにくゆります

そうやって生きていくしかない

女なのです。


自由詩 おんな Copyright そらの とこ 2012-05-02 15:52:33
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