千年樹
石川敬大






   樹木の幹を截ち割って
   樹木がうまれてくる

   ひとを截ち割って
   ひとがうまれてくるように

        *

   きょだいな
   ウロはぽっかりと
   重力と浮力を孕んでいる

   まるで
   歳月の奥ゆきがある

   そこから
   瑞々しい若葉がうまれてくる
   さいげんなく

   わたしが
   老いた手をかざすと
   ながれてくる
   冷気は
   まだわかわかしい
   だれかの霊気のようであった






自由詩 千年樹 Copyright 石川敬大 2012-05-01 12:57:00
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