卒業
梅昆布茶

愛という甘美な束縛に身をゆだねることで
ひとはみずからくるしみを選ぶのかもしれない

虚ろな自由よりは五感を満たす快楽が
存在の証となることを
本能的に知っているのかもしれない

国が侵略された時に鋭く叫ばれる
自由と独立のエネルギーはなまぬるい平和が約束された日には
その輝きを失う

アメリカという国家は「世界平和」のマニュアルのもと
自由への脅威の旗を掲げ自分たちの利益を損なうものたちに
本土の安全なコントロールルームからロボット爆撃機で
愛に満ち溢れた打撃を与え続ける民主主義の神なのかもしれない

ブル-ススプリングスティ-ンの
BORN IN THE USA の熱狂と(本人の意図は逆だったらしいが)
オサマビンラディン殺害の歓喜の表情には
いくども利用され続けてきたあの時代の
圧倒的な心理操作の臭いがしないか

尾崎豊が歌った卒業...

仕組まれた自由に誰も気づかずに
あがいた日々も終る
この支配からの卒業
戦いからの卒業

いまさらにこの歌の意味をぼんやりとでも
わかったかもしれないなんて
恥ずかしいけれどね



自由詩 卒業 Copyright 梅昆布茶 2012-04-30 21:16:37
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