ふるえ ながれ
木立 悟





垂直に聖なるものが地に倒され
狼の声を聴いている
流木がふちどる
真昼の路


終わりは来ない
そんな終わりが
もうひとつのはじまりまで
つづく


木の根元から湧き出る冬を
見つめている
水がくうを切り
名を呼び 降る 


けだもの
従前
ないがしろ
ふるえ


夜が濡れ
光だけがあり
遠のきも近づきもせず
まぶしく 平衡に浮かんでいる


汽車の音
雨の音
誰もいない地を離れない
めぐりめぐり 離れない


ふるえている
夜の花の前で ふるえている
冬の終わりのような
朝をおそれて


支えるもののない柱が並び
はざまを 白と黒に変える
時間のなかで動かずに
真昼の名残りを聴いている


あらゆる色の
色のない糸
漂い漂い 漂っている
ふかみどりにもこがねにも
つながらぬまま糸はのびる


暮れに臥す暮れ
明るさの無い明るさに降り立つもの
光の川に指をひたし
終わりと雨を確かめる






























自由詩 ふるえ ながれ Copyright 木立 悟 2012-04-30 20:17:35
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